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「新しい時代のロックミュージック」

「あなた、少しボリュームを小さくしてもらえませんか?」

貴美子は、本当にこの耳障りな音楽の良さがわからなかった。始めは、この音楽を好きになろうと努力したけれど、どう自分に言い聞かせても無理だった。だから、夫婦で外に出かける時、夫の浩一が車の中で大音量でこの音楽をかけるのが、貴美子はいつまでたっても慣れることができなかった。浩一はこの音楽を新しい時代のロックミュージックと呼んでいた。

「なんでこの音楽の良さがわからないんだ?自分の息子がやっている音楽だぞ。」

「それは勿論わかっていますけど。。。」

「わけのわからん韓国ドラマには夢中になっても、自分の息子の音楽には夢中になれないんだな。」

浩一はいつも何かにつけて、貴美子が韓国ドラマに夢中になっていることを非難していた。貴美子は、今までこれといった趣味がなかったが、何故か韓国ドラマにだけは夢中になった。と言っても家で借りてきたDVDを見るぐらいのもので、浩一に非難されるようなことは一つもしていない。ただ、見ている間、自分の気持ちが若返っているような気がするのがうれしかった。

「でもあなた、あの子がミュージシャンになることに一番反対されてたじゃないですか。」

「それは、音楽をして食っていくなんてことは不可能に近いからだ。」

「だったら。。。」

「でも、あいつの目は本気だったんだよ。もう何を言っても無駄だろう。しかも、あいつがくれたこのアルバムはなかなかのものだ。俺も今までたくさんの音楽を聴いてきたが、こんな音楽はあまり聴いたことがない。多分あいつが目指しているのは、そう、新しい時代のロックミュージックだ!」

この新しい時代のロックミュージックという言葉が、いつも浩一のスイッチが入る合図だった。こうなると、浩一はいつもきまって、大好きなビートルズの話から大学時代に自分が組んでいたバンドの話までたくさんの話を織り交ぜ、自信満々に持論を展開するのだった。こうなると貴美子には手がつけられないので、適当に相槌をうつことにした。
窓の外を眺めると、いつの間にか太陽は沈んでいて、街の明かりがきれいだった。まだまだ営業中のビックカメラには、人がたくさん出入りしていた。貴美子は、「こんなに多くの人が、本当に一人一人目的を持って歩いているとしたらすごいなぁ。」と思いながら、ぼんやり眺めていた。すると、楽器を背負った青年達が楽しそうに話しているのが見えた。本当に楽しそうだった。貴美子は、あの青年達が話している内容を想像してみようとしたが、全然上手くいかなかった。

車内では、新しいロックミュージックを奏でている息子のシャウトが響きわたっている。

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2008-12-09 : GBエマニエル : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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クシダタクミ

Author:クシダタクミ

スペースシャワーTVにて映像制作を担当。 
スペシャエリア、熊枠、爆裂☆エレキングダム!!、DAX、ナンダコーレ等 

kushida1984@yahoo.co.jp

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